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2022/03/12 (Sat) 09:00

最近解体された大分県の近代建築7件



 コロナ下の生活も早2年。過去に訪れたことのある建物や、目星をつけていながら未訪の建物について、ネット上で近況を確認する機会が一層増えました。とりわけGoogleマップは有難い存在で、つくづく便利な時代になったものだと感じます。その反面、悲しい事実を知ってしまうことも少なくありません。航空写真やストビューを見ると更地になっていたり、有名な建物だと解体の情報が挙がっていたりします。
 そこで今回は最近解体された大分県の近代建築7件をご紹介します。なぜ大分県限定なのかというと、好きだった or 気になっていた建物の解体がたまたま多かったため。県別にシリーズ化するほど各地で解体が相次いでいる訳ではない(と思う)ので、その点はご安心ください。

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2022/02/20 (Sun) 09:00

アパート秀峰苑

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アパート秀峰苑(旧 百三十銀行中津支店?、現存せず)
大分県中津市古博多町1552/明治~昭和戦後期?/木造2階建?/2019~20年ごろ解体

 福岡県に隣接する旧城下町・中津にあったアパート秀峰苑。かつての銀行を転用したとされる建物で、いかにも銀行建築らしい古典主義風のファサードと用途のギャップが印象的でした。ストビューを見ると2019年7月時点🔗では健在ですが、20年11月時点🔗では更地となっています。残念ながらこの間に解体されたようです。
 以下は私の推測に過ぎないことにご留意いただきたいのですが……もとは百三十銀行中津支店として1908(明治41)年に建てられ、増改築を経て今日まで残っていたものではないかと思います。過去にも少し取り上げましたが、せっかくなのでもう少し詳しく見ていきましょう。

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2021/04/25 (Sun) 09:00

湯布院公民館


由布市 湯布院公民館(旧 湯布院町中央公民館)
大分県由布市湯布院町川上3758-1/1972年/鉄筋コンクリート造、地下1階・地上2階建
設計:辻隆司建築設計事務所 施工:梅林建設 備考:2021年3月閉館

 あっという間に4月下旬。遅れに遅ればせながら、2021年もよろしくお願いします。今回ご紹介するのは湯布院公民館。大分県由布(ゆふ)市の旧 湯布院(ゆふいん)町の中心部、JR久大本線・由布院駅📷の至近に位置する公民館で、1972(昭和47)年4月に湯布院町中央公民館として開館しました。
 以来、市町村合併を経て町民市民に親しまれてきましたが、このほど市役所分庁舎との合築による新施設が完成。機能移転のため先月上旬に閉館し、49年間の歴史に幕を下ろしています。

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2018/06/30 (Sat) 09:00

大分県住宅供給公社ビル


大分県住宅供給公社ビル
(+旧 大分県婦人会館、旧 大分県消費生活センター)

大分市城崎町1丁目2-3/1970年/鉄筋コンクリート造4階建
設計:藤沢建築設計事務所 施工:佐藤組

今回は大分県住宅供給公社ビルをご紹介します。前身の県住宅協会から組織変更して5年後、1970(昭和45)年11月に同公社の事務所として完成しました。現在は県営住宅管理課や、大分市営住宅管理センターなどが置かれています。

ちなみに公社が入るのはビルの右半分ほどで、残りのスペースは空屋となっています。そちらにはかつて大分県婦人会館があり、1階には大分県消費生活センターも入居していました。これらの開館は翌年4月のことですが、公社のビルに後から加わったという訳ではなく、もともと3者が共同で建設したもの。さらに計画段階まで遡ると、どうやら当初は婦人会館の建設をメインに話が進められていたようです。

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2018/04/14 (Sat) 09:00

杉乃井ホテル本館旧棟


杉乃井ホテル本館旧棟(仮称)
大分県別府市観海寺1/1959年/鉄筋コンクリート造地下1階・地上2階建
設計:光吉健次(九州大学光吉研究室) 施工:大林組

今回は泉都・別府を代表する大型リゾートホテル、杉乃井ホテルをご紹介します。宿泊棟の本館・中館・HANA館をはじめ、複数の大規模な建物から構成されていますが、当記事で取り上げるのはこちらの小さな部分。現在は本館の一部として扱われており、さしたる名称は無いようなので、便宜上「本館旧棟」と呼ぶことにします。

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2017/10/14 (Sat) 09:00

別府市南部児童館


別府市南部児童館(旧 逓信省別府郵便局電話分室)
大分県別府市末広町1-3/1928年/鉄筋コンクリート造2階建
設計:吉田鉄郎(逓信省経理局営繕課) 施工:金子仙吉(金子組) 備考:国登録有形文化財

逓信建築シリーズの最終回。大分市のお隣にある温泉都市・別府より、別府市南部児童館をご紹介します。別府郵便局の電話分室として1928(昭和3)年に竣工したもので、これまで取り上げた門司鹿児島大分の3局舎と同じく、共電式という電話交換方式の導入に伴って建てられました。

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2017/10/07 (Sat) 09:00

NTT大分支店別館


NTT西日本 大分支店別館(旧 逓信省大分郵便局電話分室)
大分市府内町3丁目4-34/1927年/鉄筋コンクリート造2階建
設計:逓信省経理局営繕課(上浪朗?) 施工:清水組

引き続き逓信建築シリーズ。今回はNTT西日本 大分支店別館をご紹介します。1927(昭和2)年6月に大分郵便局の電話分室として竣工したもので、前回までに取り上げた門司📄鹿児島📄の両局舎と同じく、共電式という電話交換方式の導入に伴って建てられました。

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2016/05/28 (Sat) 09:00

中津市の近代建築(後編)

前回に続き、大分県中津市の古い建物をご紹介します。

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中津市中心部の洋館(その2)
中津市中心部/明治~昭和戦前/木造2階建

アパート秀峰苑の近くにある瓦葺きの洋館。現状はかなり手を加えられているものの、手前の門塀も含めて左右対称の構成をとっており、もとは端正な佇まいであったことが想像されます。

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2016/05/20 (Fri) 10:00

中津市の近代建築(前編)



昨年9月上旬に訪れた中津市より、中心部に残る明治~昭和戦後期の古い建物を前後2編にわたってご紹介します。

中津市は大分県北部の中心都市。もとは黒田、細川、小笠原、奥平と変遷した中津藩の城下町で、奥平氏の時代には蘭学が盛んとなり、福沢諭吉をはじめ多数の学者・医者を輩出しました。近代に入ると鉄道の開通とともに商工業が発達し、1929(昭和4)年には大分・別府に次いで市制施行。戦後も大企業の進出を背景に発展を続けますが、旧来の市街地については大きな開発を免れており、現在も中津駅(JR日豊本線)北口から中津城の周辺にかけて城下町の風情を残す街並みが見られます。

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2014/08/03 (Sun) 11:30

鉄輪温泉 若桜荘

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旅館・貸間 若桜(わかさ)荘
大分県別府市風呂本6/昭和30年頃/木造2階建など

別府を代表する8つの温泉街「別府八湯」のひとつ、鉄輪(かんなわ)温泉にある旅館。周辺にある多くの旅館と同じく素泊まりが基本の「貸間」というスタイルであり、料金は一泊3000円からとかなり良心的です。今年の春に鉄輪温泉を訪れた際、空き部屋のある旅館を探してたまたまこちらの旅館に行き着いたのですが、かつての湯治宿の雰囲気を色濃く残すレトロな建物だったのでご紹介します。

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2013/12/10 (Tue) 05:57

三井住友銀行大分支店

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三井住友銀行大分支店(旧 住友銀行大分支店)
大分市中央町1丁目3-22/1957年/鉄筋コンクリート造3階建
設計:日建設計工務 施工:梅林土木

大分駅前から北方向へ伸びる大通り(中央通り)沿い、赤レンガ館やトキハ百貨店の対岸にひっそりと佇む銀行建築。三井住友銀行の大分支店です。

(2016年2月追記)竣工年・設計者・施工者の情報を追加。なお、後日改めて写真の差し替えや本文の修正を行う予定です

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2013/12/09 (Mon) 05:58

みずほ銀行大分支店

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みずほ銀行大分支店(旧 大分県農工銀行)
大分市都町1-4-2/1932年/鉄筋コンクリート造2階建

大分市編第2弾、みずほ銀行大分支店です。鋭角のコーナーを大胆にアールでまとめた外観は存在感があり、大分市を代表する近代建築として赤レンガ館とともに有名。同時期の銀行建築といえば古典主義に基づいたデザインが一般的ですが、この建物は植物をモチーフとしたような装飾が特徴となっています。

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2013/12/08 (Sun) 05:59

大分銀行赤レンガ館

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大分銀行赤レンガ館(旧 二十三銀行本店)
大分市府内町2-2-1/1913年/煉瓦造2階建

意外に長引きそうな気がしてきた銀行建築シリーズ。今日から大分市編へと突入です。正直お腹いっぱいという方には申し訳ありませんが、まず紹介するのはコテコテの赤煉瓦物件から。現在の大分銀行のルーツのひとつ、旧二十三銀行の本店です。登録有形文化財。

戦時中の空襲で外壁を残し焼失したため内部は鉄筋コンクリート造に改築されたものの、外観は建築当時の姿にほぼ忠実に復元されています。辰野片岡建築事務所の設計であり、赤煉瓦の壁面を石材で華々しく飾る手法は「辰野式」の典型です。

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