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2021/08/29 (Sun) 06:00

三井化学J工場(後編)


三井化学大牟田工場J工場
(旧 三井鉱山三池染料工業所J工場/第2アゾ染料工場)

福岡県大牟田市浅牟田町30/1938年完成/鉄筋コンクリート造7階建 
設計:三井鉱山三池製作所? 施工:未確認 備考:2021年9月から解体予定

 前回📄に続き、三井化学大牟田工場J工場。後編となる今回は、過去3度の訪問で撮りためた外観の写真をひたすら並べていきます。大牟田工場は福岡ドーム(PayPayドーム)約36個分という広大な敷地を有していますが、J工場が建っているのは北西のほぼ隅といっていい場所。他の工場建屋に比べて一際高いこともあり、敷地外からその偉容を拝見することができます。
 一方、工場敷地は当然ながら関係者以外の立入りが禁止されているため、見学の際は必然的にアングルが限られることになります。しかし、私のような何のコネもない一部外者であっても、敷地内から間近に見上げることのできる貴重な機会がありました。大牟田工場主催のイベント、「オオタムフェスタ」です。

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2021/08/26 (Thu) 21:00

三井化学J工場(前編)


三井化学大牟田工場J工場
(旧 三井鉱山三池染料工業所J工場/第2アゾ染料工場)

福岡県大牟田市浅牟田町30/1938年完成/鉄筋コンクリート造7階建 
設計:三井鉱山三池製作所? 施工:未確認 備考:2021年9月から解体予定 

 福岡県最南端の大牟田(おおむた)市より、三井化学大牟田工場J工場をご紹介します。明治中期に官営三池炭鉱の払下げを受けた旧三井財閥は、国内随一の大炭鉱へ成長させるとともに、石炭を中核とする重化学工業地帯を築き上げました。その一角を占めたのが大牟田工場の前身、三池染料工業所です。もともとは焦煤(コークス)工場として石炭からコークスを製造していましたが、副産物からアリザリンやインジゴといった染料の合成に成功し、染料工場として発展。昭和初期には三井鉱山(株)全体の純利益の2~3割を占めるまでになり、1941(昭和16)年に三井化学工業(株)として独立しました。
 J工場は合成染料事業が盛んになる1930年代、アゾ染料の設備拡充の一環として建設されたものです。高さ47メートルと当時としては破格の高層建築で、長らく地域のランドマークとして親しまれてきました。産業史・地域史の観点からも高い評価を受けており、2007年には経済産業省の近代化産業遺産に認定されています。
 しかし、石炭化学から石油化学への転換などに伴い、大牟田工場における主力製品も変容していく中、三井化学は08年3月をもってJ工場の稼働を終了。さらに16年の熊本地震後に行った調査で耐震強度不足が判明したことを受けて、同社はJ工場の解体を決定しました。解体工事は来月から始まる予定です。

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2021/08/15 (Sun) 09:00

第一紡績 荒尾工場


第一紡績 荒尾工場(旧 九州紡網 紡績工場)
熊本県荒尾市増永1850/1949年操業開始/煉瓦造+木造、平屋建 
設計:坂上宗雄、奥田金行 施工:萩原組

 今回は熊本県荒尾市に本社を置く第一紡績(株)の工場をご紹介します。昔ながらの鋸屋根と、独特の黒々とした煉瓦が目を引く紡績工場です。戦後間もない1948(昭和23)年に建設され、翌49(同24)年から綿糸の生産を開始しました。
 戦後生まれの大規模な煉瓦造工場建築であり、しかも築70年を超えてなお現役という、驚嘆するほかない建物です。さらに嬉しいことに、同社は『第一紡績三十年史』(1980年)という社史を編纂・刊行しています。建物についても同書で詳述されていますが、建設に至った経緯や時代背景を探るべく、まずは会社の歴史から見ていきましょう。

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