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2014/06/19 (Thu) 21:50

上山田原山の社宅街

今回は上山田の原山にあった社宅街をご紹介します。

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(1974年撮影 / 国交省の国土画像情報より引用・加工)

赤線で囲った部分が今回の社宅街。麻生山田炭鉱の社宅では炭鉱施設から最も遠い場所、南西に1kmほど離れた山裾にありました。私が山田炭鉱の記事を作り始めた当初は全く頭に入っていなかったのですが、後日手持ち資料を見返していると「草場」が2つと「猪野白谷」に続いて「上山田原山」と記載されていることに気付きました。

このやけに長ったらしい地名は「猪野白谷」と同じく大字と小字を組み合わせたものと思われ、恐らく上山田(かみやまだ)と原山(はらやま、はるやま)に分けられるのでしょう。なお現在の久山町の大字は久原・山田・猪野の3つのみなので、この上山田というのは合併以前の山田村の大字であると考えられます。

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(1974年撮影 / 国交省の国土画像情報より引用・加工)

社宅周辺を拡大。ここには戸建12棟と2軒長屋6棟、計18棟24戸の社宅があり、他の社宅街より少し遅れて1952(昭和27)年に開設されています。国土地理院の航空写真で追っていくと、水色で囲った部分にある7棟は開設当初から遅くとも1956年までに、黄色で囲った2棟は1961年から1964年の間に、それ以外の9棟は1956年から1961年の間に建てられていることが確認できます。そしてグーグルマップの航空写真で現況を見てみると、上画像で示しているように戸建が3棟と長屋が1棟、半分化された長屋が2戸現存しているようです。当然それなりの改装や増築は見られますが、特筆すべきは概ね原型をとどめている入母屋屋根の戸建2棟。山田炭鉱の一戸建て社宅はもともと数が多くないので、現存するこれらは特に貴重な存在といえます。

先述したように当初私はここの社宅街の存在を認知していなかったのですが、すぐ近くを通っていた索道の遺構を探すという別の目的で図らずもこの場所を訪れていました。本当に偶然のことだったので現存する社宅などを詳しく観察した訳ではないものの、それなりに気になる所もあって一応写真は撮ってあるので、ごく簡単にですが社宅街の現況も以下にお伝えします。

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パッと見た感じでは何の変哲もない住宅地です。このまま危うく素通りしてしまう所でしたが…

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ふと目に留まったのがこちら、お馴染みの松岩の石垣。

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「たぶん山田炭鉱の松岩を再利用したものだろう」と思い、おかげで周辺も少しだけ散策してみようという気になりました。

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そして見つけたのがこの階段。両側に木柱が1本ずつ立ち、何となく草場(北)の社宅跡を思い起こさせます。

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石垣(+擁壁)と階段の上には空き地が広がり、そのまた上にも松岩の石垣が見えます。

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土手を上がっていくと再び松岩の石垣が現れ、山林に行き当たりました。心なしか山林の中にも道は少し続いているようでしたが、炭鉱を探索する前の無駄な藪突は避けたいので(笑)チラッと覗くだけ。改めて考えると、1975年の写真に写っている一番上の大きな社宅はこの山林の中にあったのでしょうね。建物は1987~95年に解体されているようですが。

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突き当り左側の石垣。こちら側には新しい住宅が建っており、家の前まで車道が上ってきています。

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再びこちらの空き地。中央奥に見えているのが現存する戸建社宅。

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山陽新幹線の盛土高架がすぐ目の前を通っており、ちょうどN700系が通過して行きました。ちなみに右端に見えているのも戸建社宅。たぶん2階は増築でしょう。

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社宅街東端の坂。この上でも松岩の石垣が見られましたが、残念ながら画像データが…。

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その坂の途中にあった井桁+「金」マークの立派な瓦。ついでに足元にはボタが転がっていました。

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その後高架下を潜り抜けて社宅街を後にし、炭鉱跡地へと向かいました。なお今回使用した写真は全て2014年3月の撮影です。

そんな訳で今ひとつ物足りない結果となった上山田原山の社宅街ですが、社宅に関しては荒れるに任せる炭鉱跡地とは異なり基本的に季節による制約はないので、探索シーズンを待たずに暇を見つけて再訪したいと思います。ただし現状で出せるネタについては一通り出し尽くしたため、とりあえず山田炭鉱の記事更新は今回で最後とし、過去記事の整理や記事一覧の作成に取り掛かることにします。

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コメント

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Re: タイトルなし

はじめまして。縁のある方からコメントが頂けるとは、と少々驚いています。
長屋は今でも残っているのですね。一昨年にふらっと訪れて以来、まだ再訪できていないので、状況が気になっていたところでした。
記事がお役に立てたのであれば幸いです。こちらこそ、ご覧いただきありがとうございます。