サニー松崎店

サニー松崎店
福岡市東区舞松原2丁目6-1/1973年/鉄骨造2階建
開店日…1973(昭和48)年3月27日
売場面積…(1744㎡→)1124㎡
駐車場…19台収容
※2015年3月末閉店予定(記事末参照)
今回は東区の舞松原、幹線市道(千早土井線)沿いにあるサニー松崎店をご紹介します。サニーについては私は福岡にいた頃よく利用していましたが、サニーというチェーン自体に馴染みのない方もいらっしゃると思うので、まずはそちらの説明を軽く入れておきましょう。
サニーは世界的な小売り企業のウォルマート(米国)傘下の西友が運営し、福岡県を中心に展開する食品主体のスーパーマーケット・チェーンです。もともとは福岡市の百貨店・岩田屋のスーパー部門として設立されており、岩田屋の経営危機を受けて西友に売り渡され現在に至っています。岩田屋を核として出店を拡大してきた経緯から県内では福岡都市圏と筑後地域に店舗が集中しており、井筒屋(小倉)の勢力圏にあった北九州・筑豊地域には僅か2店舗が存在するのみ。その一方で県外では過去に岩田屋が支店を置いていた名残で、熊本市や大分県日田市に現在も店舗を構えています。
一時は福岡を代表するスーパーにまで成長したサニーですが、設立当初は百貨店のスタイルから中々抜け出せず苦難の連続だったそうです。そんな中で1972(昭和47)年10月、スーパーの経営ノウハウを取り入れるために行われたのが、当時三越を抜いて国内小売業最大手となったダイエーとの業務提携でした。この提携は家庭用品・衣料品部門におけるもので、食品スーパー(SM)からダイエーのような総合スーパー(GMS)へと業態を拡大させるための布石であったとのちに語られています。そしてこの業務提携後初めての新規店舗として、またサニー25番目の店舗として誕生したのが、今回ご紹介する松崎店なのです。
松崎店は従来のサニーとは異なる戦略を打ち出した店舗で、2階にはダイエーの協力を得て作られた家庭用品・衣料品売場が設けられていました。このような新たな店舗の形態を指して、ダイエー(Daiei)とサニー(Sunny)の頭文字をとった「DS店舗」、また両社を結ぶ架け橋という意味から「レインボーショップ」なる呼称もあったのだそう。以降、七隈・田島・春日原・楠が同様の形態でオープンしています。
ところが現在の松崎店はというと食品中心の標準的な売場構成で、ごくごく平凡な中規模スーパーといった印象。開店当初のコンセプトは何処へやらといった感じです。それもそのはずダイエーとの提携は1978(昭和53)年2月、契約期間の満了によって解消されているんですね。その後のグループ方針は現在見られる業態からも分かるとおり、結局は食品スーパーに落ち着くことになっています。
そんな訳で松崎店から始まった総合スーパーへの飛躍という夢はあえなく潰えてしまったのですが、建物は改装を重ねつつそのまま使い続けているようで、当時の名残と思しき箇所が今でも見られます。現在の売場は1階のみで建物も一見平屋に見えますが、市道側の隅、看板の脇にひっそりと階段が。
ここ数年使われてなさそうな、かといって特に封鎖されている訳でもない階段。上った先には庇が突き出しています。
そして現れた2階の出入口。看板や掲示の類は一切なく、ガラスも薄っすら曇っています。もちろん施錠されていたため内部の様子は覗えませんでしたが、扉などを見る限りそこまで古そうでもなく、本当に数年前までは使われていたような雰囲気です。
後で調べてみると1990年代まで各種資料に記載されていた売場面積は1744㎡でしたが、昨年のスーパーマーケット年鑑では1124㎡となっていました。確証はありませんがダイエーとの提携解消後に2階の家庭用品・衣料品売場は廃止されたものの、何かしらのテナントが代わりに入居していたのではないでしょうか。そして恐らく数年前にそのテナントも撤退し、2階の売場面積620㎡が差し引かれて現在に至っているのでしょう。
もう一方の面には窓を塞いだような跡もあり、何の変哲もないスーパーの上に潜む使用されなくなった2階の存在を感じさせます。ただ現在の店内(1階)には2階に続く階段やエレベーターなどは全く見当たらなかったので、昔を知る人以外は2階の存在に気付きにくいでしょうね。
ちなみにサニーは外資系ファストフードチェーンの「デイリークイーン」と一時期FC契約を結んでいたそうで、ここ松崎店にも1977年11月~1981年4月まで店舗が存在していました(たぶん現在のクリーニング店のスペース)。ソフトクリームが主力のチェーンだったそうですが、全く聞いたことないな~と思ったら2004年に日本から撤退したそうです。写真はクリーニング店の隣、2階入口下にいたネコ。
おまけ。裏側の店舗出入口に設置されていたボードに岩田屋時代のイメージキャラクター「サニちゃん」がいました(某鼻毛漫画のキャラではありません)。サニーが西友の子会社となってからはロゴや店舗デザイン刷新の陰で徐々に消えて行ったようですが、こうして一部の店舗ではひっそりと生き残っています。有名なのは呉服町ビジネスセンタービル地下の呉服町店にある等身大?サニちゃんですね。
(2015年1月25日追記)
西友ホームページの店舗情報によると、残念ながら今年の3月31日18時をもって閉店とのことです。これが昨年秋に報じられた店舗整理の一環なのかは現時点では不明ですが、ともかく42年の長きにわたる歴史に幕を下ろすことになります。
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