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2014/08/06 (Wed) 10:00

料亭きくしげ(旧店舗)

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料亭きくしげ(旧店舗、現存せず)
福岡市中央区西中洲4-1/昭和初期?/木造2階建/2014年12月~15年1月ごろ解体

※「料亭きくしげ」は2014年より同市東区多の津で「きくしげ別館」として営業されています(詳細後述)

西日本随一の歓楽街として賑わいを見せる中洲の対岸、西中洲の川辺にある立派な和風建築。先月いっぱいで閉店してしまった料亭「きくしげ」です。国体道路の春吉橋からもよく見えるので以前から気にかかっていた存在でしたが、この前目にした新聞記事にこんなことが書かれていました。

“那珂川沿いにある料亭「きくしげ」。1930年頃に中洲で創業し、「筑豊の炭鉱王」と呼ばれた伊藤伝右衛門の旧別邸に戦後、店を移した老舗だ”

※読売新聞福岡版2014年6月22日朝刊より引用

福岡市にあった伊藤家の別邸といえば天神2丁目の銅(あかがね)御殿が知られています。そのため天神にあった旧別邸を西中洲に移築したのかと思いましたが、よくよく読むと「旧別邸店を移した」とあります。これでは伝右衛門さんの別邸が西中洲にあったということになりますが…。

しかし先述の銅御殿は1927(昭和2)年に漏電によって焼失しており、その後については屋敷の門が飯塚市の本邸に移築されたこと、跡地の一画に親族の方々が所有する「伊藤ビル」が建っていること、屋敷を囲んでいた煉瓦塀の一部が現存していることぐらいしか知りません。焼失後に西中洲に改めて別邸を構えた、あるいは同地で再建後に西中洲に移築したか…料亭きくしげの閉店直前までこの話があまり有名でなかったことも謎を深めます(タイミング的には「花子とアン」の存在が大きいかもしれませんね)。

この件についてはどうにも情報が少ないというか、正直なところ詳細は私にはさっぱりです。ただ「料亭きくしげ 閉店」を検索して何の情報もない私のブログに飛ばされた方々が大勢いらしたようなので、お詫びの意味も含めてこうして記事にしてみた次第です(笑)。以下、建物の写真をいくつか。

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料亭の建物は川と道路に挟まれた細い敷地に建っています。まずは西中洲の道路側から。

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車一台通るのがやっとな狭い路地なので建物の観察も大分限られたものになります。

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ちなみにこの道路を海側へ進むと旧福岡県公会堂の敷地に突き当たります。その名残で電柱には今でも「公会堂」の文字が。

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手前にも料亭の建物は建っていますが、古い木造の建物はここまで。道路側に張り出した部分もありますがベースは本棟が那珂川と平行な形の横長な建物で、長さは25~30m程度のようです。

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この先で路地はクランク状に折れ曲がり、川側に料亭の入口が設けられています。

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門から覗き込む。

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後退。

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国道202号・国体道路の春吉橋(正確に言うと中洲懸橋の方)から。

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橋を渡って対岸の中洲から。

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窓ガラス越しに見える段ボール箱には「引越センター」の文字。閉店を間近に控え、既に荷造りに取り掛かっていたのでしょう。

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建物は所々に古さと造りの細かさが感じられ、それなりに気合の入った和風建築であることには間違いないようです。ただ建物の規模の割に敷地に余裕がなく、この地に伊藤家の別邸があったのかというと私の印象としては微妙なところ。この建物が本当に伊藤家の旧別邸であるとすれば、やはり移築してきたものなのでしょう。

この辺りの話は料亭の関係者に聞くのが手っ取り早いとは思いますが、閉店間際でお忙しいでしょうし、そもそも自分のような人間には敷居の高い(誤用)場所ですし…という感じで結局私には聞けませんでした。どなたか真相究明をお願いいたします。

【関連リンク】
料亭きくしげホームページ(BGM注意)


(2015年8月追記)

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今年の4月に撮影。建物が解体され、更地になっていました。現在跡地では店舗ビルの建設が進んでいるそうです。

西中洲の料亭きくしげ跡 ビル建設始まる (Net IB News)


(2015年10月31日追記)

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当記事に頂いたコメントにより、料亭きくしげは現在別の場所で営業されていることが分かりました。店名は「クイジーヌ・タノツ きくしげ別館」。場所は福岡市東区多の津の流通センターにある卸センター会館(上写真)の2階です。詳細は以下のリンク先をご覧ください。

クイジーヌ・タノツ きくしげ別館 (オロシアムFUKUOKA)


(おまけ)

おまけに近隣の料亭建築を3軒。いずれも那珂川かその分流の博多川沿いにあるので、上流からご紹介します。

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まずは中央区清川にある料亭・三光園。かつて界隈が新柳町と呼ばれていた頃の隆盛を今に伝える老舗料亭です。一部木造3階建の立派な建物で、以前見た新聞記事には折り上げ天井を備えたこれまた立派な広間の写真が載っていたと記憶。

ホームページはこちら⇒福岡 博多の料亭 三光園。数寄屋造りの建物と日本庭園が魅力です。

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続いて博多区中洲1丁目にある料亭・満佐(まさ)。場所は南新地といった方が通りが良いか。HPには「近代数奇屋建築の第一人者 吉田五十八氏設計の建物」とあります。

ホームページはこちら⇒博多料亭 満佐

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最後に博多区中洲中島町にある料亭・老松。空襲で焼けたのち1947年に再建された建物ですが、HPでも述べられているとおり戦後間もない頃に建てられたとは思えない立派な造りです。

ホームページはこちら⇒老舗料亭 博多老松

こういう場所とは縁のない人間ですので言えることは少ないのですが、建築の面だけでなく庭園・料理・芸能など様々な伝統文化が詰まった存在だと理解しています。今後とも都市における文化の象徴であり続けてほしいですね。

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きくしげ

きくしげは、きくしげ別館として2014年より、多の津で営業しています。又7年前より単身赴任寮の管理運営。介護の365日の食事、赤坂で料理教室を開室しています。

Re: きくしげ

コメントありがとうございます。きくしげさんは流通センターへ移転されていたのですね。また料亭の他にもそのような事業をなされていたとは、存じませんでした。

記事タイトルの「廃業?」は「旧店舗」に改め、現在は多の津で営業されていることを記事中に追記しています。当ブログ記事へのご訪問、並びにご教示頂き、ありがとうございました。

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