九州大学 箱崎キャンパス正門

九州大学 箱崎キャンパス正門
(九州帝国大学工科大学正門)
福岡市東区箱崎6丁目/1914年/煉瓦造
毎度のように「次は何を取り上げようか」と悩むのも面倒なので、先日作成した物件リストを上から順に埋めていく形で進めることにしました。という訳で今回は正門と、オマケとしてキャンパスの敷地を囲む柵を紹介します。
まずは正門から。門柱は道路からやや後退した場所に建っており、手前のスペースを石畳とした余裕のある構造です。
左端部。門柱両側の脇柱が起点となり、敷地外との境界をなす柵が続いています。
正門の竣工年は意外にも不明とのこと。ただし大方の予想では、箱崎キャンパスが九州帝国大学の工科大学として開設された1911(明治44)年とみられているようです。
【2018年7月追記】1914(大正3)年の完成とのこと。開学当初の正門は別の場所(後の工学部通用門)にありましたが、工科大学本館の建設に合わせ、門衛所とともに整備されたそうです。【追記ここまで】
門柱に接近。大学の格の高さをそのまま表したような、威厳のある雰囲気です。
門柱の詳細。門扉は新しいものに交換されていますが、明治末期の竣工と言われても納得のいく造りの細かさですね。
門を抜けて敷地内から振り返る。次回紹介する正門門衛所は入ってすぐ右手に建っています。
最後に夜景。正門は構造上、建物と比較すると移設が容易であり、保存するうえでの制約は少ないといえます。用途も門としての役割に限定されることはなく、モニュメントといった手法で残すことも可能です。そのため箱崎キャンパスに存在する歴史的遺産の中では、最も保存される公算が大きいとみて良いのではないでしょうか。
おまけ。キャンパス周囲の柵についても、煉瓦柱を備えたものに限り簡単に取り上げておきます。
正門門柱と似たスタイルの煉瓦柱を等間隔に並べ、間に基壇を設け鉄製の柵をはめ込んだ構造。基壇部は一見すると石積みのようですが、表面が剥離した箇所からは煉瓦が覗いていた(場所失念、写真なし)ため、煉瓦積みにモルタルを被せて目地を切ったものと思われます。
正門向かって右側の柵は道路に沿ってほぼ一直線に伸び…
箱崎6丁目交差点の付近で一旦折れ曲がった後、農学部正門の手前にある丁字路まで約500mにわたり続いています。
正門向かって左手の柵は敷地の形に合わせて3回折れ曲がった後、キャンパス西端にある松原門に至るまで、やはり道路沿いの約500mにわたり続いています。その途中には旧心理学教室の近くに工学部通用門が設けられていますが、それとは別にもう一つの門が存在します(写真)。現在は閉鎖されており名称は分からないものの、煉瓦造の門柱を備えており戦前の設置とみて間違いないでしょう。道路を挟んで向かいには1928年築の松浜厚生施設(旧学生食堂)があるので、恐らく同時期の竣工ではないかと思います。
以上、箱崎キャンパス正門(+柵)でした。
(撮影年月)
・2012年
2月)001
7月)002
・2014年
9月)003~006
11月)007~015
【関連ページ】
・九州大学箱崎キャンパスの近代建築
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