福岡証券ビルディング

福岡証券ビルディング (福岡証券取引所)
福岡市中央区天神2丁目14-2/1958年7月/鉄筋コンクリート造地上8階地下1階建+塔屋3層
設計施工:竹中工務店
今回は福岡市の中心・天神の明治通り沿いに立地する福岡証券ビルディングをご紹介します。
(2015年8月追記)冒頭の写真をリニューアル後のものに差し替え、記事末にも写真を追加
ビルの設計・施工はともに竹中工務店。全国でも数少ない証券取引所の一つである福岡証券取引所(福証)が入居するほか、複数の証券会社が支店を構えています。
1958年の竣工というと、天神地区では福岡パルコ(旧岩田屋本店・1936年)、西日本ビル(1954年)などに次ぐ古さです。天神ビル(1960年)や福岡ビル(1961年)といった古参よりも先輩にあたります。
お隣の福岡平和ビルと同じく所有者は平和不動産。同社は証券取引所ビルのオーナー企業として戦後まもなく創業し、ここ福岡をはじめ東京、大阪、名古屋、札幌など全国の大都市にビルを所有しています。
◎平和不動産HP
福証の設立は1949年。正面玄関脇に掛かる銘板は、現ビルの建造当時の大蔵大臣である福田赳夫の書によるもの。何代か前の首相・福田康夫さんのお父さんですから、私には想像もつかないほど昔の話です。
玄関上の電光掲示板に「福岡証券ビルディング」の文字が掲げられています。
ビル外装はファサードと平和ビル側はパネル貼りですが、福岡天神センタービル側(西側)から側面を見るとこんな感じです。パネルがスパッと途切れ、モルタル外壁が覗いてます。
昭和通りから建物背面を見ると、だいぶ印象が異なりますね。モルタルの色といい質感といい、旧熊本貯金支局(熊本市、現市役所別館)を彷彿とさせる雰囲気です。ちなみに手前に写っているタリーズコーヒーの裏側には、かつて存在した伊藤伝右衛門の別邸「赤銅(あかがね)御殿」の煉瓦塀がひっそりと残っています。
夜景はこんな感じ。写真だと電光掲示板がやけに目立ちますね。
夜の玄関部。エントランスに見えるスマートな階段がひときわ目を引きます。
以前の私は戦前の建築しか好まなかったのですが、2階に吸い込まれるようなこの階段に心奪われ、戦後建築にも手を出すようになりました。今こうして写真で見返してみても、本当にカッコいい階段だなと思います。
ほかにもこうした照明や…
こうした格子も素敵です。ビル内部も見所があるのだろうと期待したのですが、内部の撮影はダメだとのこと。証券取引所というとオープンなイメージがあったんですが、意外とガードは堅いようです。
お隣の平和ビルが地下鉄天神駅に直結しており、4番出口を利用すれば雨の日でもほとんど濡れずにアクセス可能です。
前回紹介したビルは正直薄汚さも否めない雰囲気でしたが、それより7年も古い当ビルは現在もピカピカに保たれています。結局のところ建物は建築年に関係なく、メンテナンス次第で使い続けられるってことですよね。今年の7月で55歳になったこのビルですが、これからも頑張ってほしいもんです。
(2015年8月追記)

今年の2月に通りかかった際、ビルの改装工事が行われていることに気付きました。

この時はまだファザード以外がシートに覆われていたので、後日改めて訪れることに。

この写真からは2015年4月の撮影。工事が完了しています。

外装がパネル・モルタル共に白色に変更されています。





玄関付近。

扉越しに見た感じだと、内装もリニューアルされているようですね。



外階段の扉や塔屋まで、ビル全体が真っ白になっていました。
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