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九州大学 松浜厚生施設  


九州大学 松浜厚生施設・生活協同組合本部
(旧 学生食堂)

福岡市東区箱崎3丁目32-20/1928年/木造2階建

少し間が空きましたが、引き続き九大箱崎キャンパスの建物。今回は学生食堂として建てられた松浜厚生施設をご紹介します。

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旧河海工学実験室旧高周波電気及電子工学実験室が並ぶ通りから南側を見ると、突き当りのキャンパス敷地外、正門の記事で取り上げた門(閉鎖済)越しに建物正面が望めます。

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竣工は1928(昭和3)年で、法文学部設置(大正末期)に伴ってキャンパスが拡張された際、敷地内に存在していた従来の食堂を新築移転させる形で建てられたとのこと。このような経緯によって、公道を挟んだ敷地外という飛び地のような立地になっています。

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なお後年には旧工学部本館(1930年竣工)の地階など、再び敷地内の各所に食堂が新設されており、そのためか当建物は事務施設へと転用されました。大学年表によれば松浜厚生施設としての設置は1968(昭和43)年のことで、現在は九大の生協本部が入居しているようです。

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それでは建物を見ていきましょう。木造2階建て、切妻屋根に妻入りの構造で、中々に風格が感じられるファザードです。

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外装は基本的に白色の下見板張り。淡い水色に塗られた幕板・付け柱により、ハーフティンバー調の引き締まった外観となっています。

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また妻壁上部の換気口には精緻な模様のグリルが嵌め込まれ、デザイン性の高い外観において特に目を引きます。建物の設計者・施工者はともに不明とのことですが、このような特徴を見るにつけ、九大の初代建築課長(1918~1929年)を務められた倉田謙が設計に関与しているのでは?と思います。

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引き続き建物外観。足回りはモルタル洗い出しで石積み風に仕上げ、床下換気口にも簡素なデザインながらグリルが付きます。

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玄関。食堂という当初の用途が影響してか、同じく木造の旧演習林本部と比較してもあっさりした造りです。

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ただし庇には持ち送りの金具が装飾として用いられ、ここでもデザインへの力の入れようが感じ取れます。

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続いて少しだけ内装を。キャンパス内の建物とは異なり敷地の境界が明確であるため、部外者にとって建物本体へは近寄り難いのですが、門の外から玄関付近の様子を窺うことができました。

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玄関入って右側は階段のようです。親柱のデザインも、どことなく氏の作風に近いような。

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左手前にはカウンターを備えた小さな窓口が確認できます。用途変更や経年によって相応の改装がなされているとは思いますが、当初の仕様も割と残っている方ではないでしょうか。とはいえこれ以上立ち入ることもできず…大人しく外観に戻ります。

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向かって右手には便所が付属。主屋と共通する外観デザインが採用されており、これも同年の竣工とみて良いでしょう。

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ただし側面の造りを見ると、当初は男女共用または男子専用で、後年になって女子用のブースが分けられているようです。

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トイレの話は程々にして、右側面の外観。全体的に洋風でまとめられている中、屋根は和瓦葺きでした。

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少し引いて右側からの全景。もともと食堂だっただけあって、意外と奥行きのある大きな建物です。

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こちらは左側面の様子。2階建ての主屋と直交する形で平屋建ての棟が突き出しています。内部の様子を見ていないので全くの想像ですが、食堂時代は恐らくここに厨房があったのではないでしょうか。

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こちらの換気口にもファザードと同じデザインのグリルがあしらわれています。

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ちなみに確認するのをすっかり忘れていましたが、建物背面の換気口にも同様のグリルが用いられているようです。

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最後に、正面の門と塀。

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塀の部分は一目瞭然として、門柱もモルタルが剥離した箇所から鉱滓煉瓦造であることが見て取れます。これまた全くの想像ですが、ひょっとしたら建物の基礎にも鉱滓煉瓦が使用されているかもしれません。

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当建物は2012年に行われた有識者による調査の対象となり、旧航空学教室、第三学生集会所・三畏閣に次ぐ評価(24件中14位)を受けたものの、キャンパス敷地外に立地するためか、今後の取扱いの方向性についての分類からは三畏閣とともに漏れていました。

それでも九大に残る数少ない木造洋館ですから、移築保存も含めて何らかの活用方法が当然検討されているだろう、と思っていたのですが…「九州大学 松浜厚生施設」でググると以下の資料がヒットしました。

九州大学施設部 > 企業の皆様 > 工事調達情報 > 入札等公告情報 > 九州大学(箱崎)工学系実験施設等とりこわし設計業務(PDF)

公告時期は昨年の10月末。業務内容は箱崎キャンパス旧工学系エリアに存在する施設の解体設計で、その対象となる17棟の中に、なんと当建物(⑰松浜厚生施設)がひっそりと含まれています。先述の有識者による評価報告でも老朽化の可能性は指摘されていましたが、いつの間に解体の決定がなされたのでしょうか。

九州大学(箱崎)工学系実験施設等とりこわし工事(PDF)

一方で、今年2月に公告された解体工事の入札資料(上記リンク)には含まれておらず、結局の所どうなるのか現時点では正直よく分かりません。ただ仮に保存活用が望めないにしても、外部から見えない形で粛々と撤去を進めることだけは止めて頂きたいものですね。

以上、松浜厚生施設(旧・学生食堂)でした。


(撮影年月)

2014年9月)001~003
    11月)004
    12月)005~007
2015年4月)008~026

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