九州大学 第三学生集会所

九州大学 第三学生集会所(三畏閣)
福岡市東区箱崎3丁目26-15/1937年/木造2階建
箱崎キャンパス西端の松原門を出て少し歩くと、地下鉄箱崎九大前駅のそばに建つ大きな和風建築が目に留まります。1937(昭和12)年4月竣工の第三学生集会所、通称「三畏閣」(さんいかく)です。
建物正面。門・塀や木々に遮られるものの、敷地にゆとりをもった立派な建物であることが分かります。確かに事前情報がなければ、旅館や料亭と勘違いしてしまいそうです。
実際には名称からも分かるとおり、学生のための集会施設として当初から使用されてきました。大集会室(42畳)を1室、小集会室と会議室(ともに15畳)を2室ずつ備えているそうです。
玄関に掲げられた扁額。なお「三畏閣」の通称は、竣工当時の大学総長が論語から引用して命名されたとのこと。
※三畏=君子がおそれ敬うべき三つのもの。天命、大人(徳の高い人)、聖人の言葉を指す
銅板葺きの玄関庇。
重厚さが感じられる玄関回り。扉の磨りガラスは当初のものでしょうか。
こちらはたまたま施設が使用されていた時の撮影。門の外から遠目にですが、内部の雰囲気が少しだけ伝わってきます。
玄関向かって左手は平屋建てながら大ぶりな造りで、これまた大きく取られた出窓が目を引きます。恐らくここが大集会室なのでしょう。
門扉越しでは見られるものも限られてくるので、ここから反時計回りに建物を見ていきます。
右側面。2階建ての主屋が奥(南側)に向かって伸びています。
建物南端。
足元には「九大」と彫られた御影石の境界杭。
敷地裏手の片隅には寄棟屋根の離れがありました。
松の木が立派に育った庭。敷地外からは確認できませんが、池もあるようです。
アングルに苦心しつつ全体像。
主屋の入母屋屋根を離れと絡めて。純和風の建物なのであまり詳しくは取り上げませんでしたが、時代を重ねた建物はやはり魅力的ですね。
当建物も2012年に行われた有識者による調査の対象となっていましたが、松浜厚生施設(生協本部)と同じく今後の取扱いの方向性は示されませんでした。そして今年2月に公告された解体工事の入札資料を見ると、箱崎キャンパス敷地内の施設とともに当建物がその名を連ねています(⑯第3学生集会所)。
◎九州大学施設部 > 企業の皆様 > 工事調達情報 > 入札等公告情報 > 九州大学(箱崎)工学系実験施設等とりこわし工事(PDF)
また集会施設としての使用は昨年度をもって終了したそうで、大学HPからも案内が消えていました。こうした状況を見る限り、建物の解体は恐らく決定事項なのでしょう。
以上、第三学生集会所(通称・三畏閣)でした。
(撮影年月)
2014年11月)001
12月)002
2015年4月)003~022
【関連ページ】
・九州大学箱崎キャンパスの近代建築
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