九州大学 農学部正門

九州大学 農学部正門
福岡市東区箱崎6丁目/1923年?/石造?
箱崎キャンパスの北側に構えられた古風な門。1919(大正8)年創設の農学部の正門として設置されたもので、位置や用途を変えることなく現在に至っています。キャンパス正門と同じく自動車での利用は不可。
キャンパス正門を出て左に進み、敷地外縁に沿ってひたすら北へ歩くこと約10分。
右手を並走するJR鹿児島本線の高架が低くなってきた頃、ようやく姿を現します。
全景。外部の道路と門柱との間が広くとられており、キャンパス正門と同様に余裕のある構造となっています。
竣工年は確認できませんでしたが、九州大学・大学文書館のサイトによると「農学部門衛所等」の竣工が1923(大正12)年とあり、また同年撮影の写真(174F9.jpg)に真新しい門の姿が写っています。このことから門衛所と同時期か、その直前直後の竣工であると考えてよいでしょう。
◎大正元年~大正14年 (九州大学年表)
◎検索結果:農学部正門 (写真目録九州帝国大学時代)
ちなみに当時の写真と見比べると、門扉の交換や照明器具の撤去などを除けば、概ね原型を留めているようです。なお、門衛所は残念ながら現存しません。
向かって右側の門柱に「九州大学農学部」の銘板。
足元の石畳を見ると、門扉のガイドとなる溝まで石で造られていました。
内側には球状のストッパー。赤煉瓦を用いていたキャンパス正門とは趣向を変え、徹底的に石材で仕上げているようです。ただし、ひょっとしたら門柱は表面のみ石張りで、構造材は煉瓦かもしれません。
農学部正門からキャンパス内を望む。一直線に伸びる通りの突き当りには1938年竣工の農学部6号館が、また右手には同1号館(写真)が建っており、ここが現在でも農学部のメインストリートであることを感じさせます。見た目の華やかさこそありませんが、設置当初の役割を90年以上の長きにわたり保っているという点ではキャンパス正門にも劣らない、非常に大きな意味を持つ存在だといえるでしょう。
建物に比べて移設が容易なので、何だかんだで農学部のシンボルとして保存されるのではないでしょうか。とはいっても実際にそういう話がある訳ではなく、全くもって私個人の願望じみた想像に過ぎませんが…この門から多くの学生が出入りしているさまが印象的だったので、そんな淡い期待を勝手ながら抱いてしまいました。
以上、農学部正門でした。
(撮影年月:2014年9月)
【関連ページ】
・九州大学箱崎キャンパスの近代建築
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