fc2ブログ
2013/10/12 (Sat) 04:27

花関ビル(解体済)

hsb004.jpg
花関ビル
福岡市博多区中洲4丁目/1954年/鉄筋コンクリート造7階建+塔屋/解体済

花関(はなのせき)ビルとはかつて中洲の西大橋のたもとに存在した、戦後初期の複合ビルです。開業当初は森永キャンデーストアが入居したほか、九州朝日放送(KBC)がテレビ放送を開始するまでここに本社を構えていました。その関係でビル屋上に設置されたネオン看板には当初KBCの文字が輝いていましたが、晩年に看板が撤去されるまでは永らく日立の広告塔となっていました。

竣工は1954年(昭和29年)と古く、天神の西日本ビル(現存)と同い年です。コーナーをアールで仕上げ背面に塔屋を設けている点は両者とも共通していますが、こちらは水平連続窓を採用しよりモダンな印象でした。ちなみにこの地には戦前、福岡玉屋(1999年閉店、現ゲイツビル)に対抗し開業した百貨店「デパートメントストア不二屋」が存在していました。鉄筋造の立派な建物でしたが、それ以上に大規模な店舗を持つ玉屋の前に敗退。廃業後に当ビルが建設されるまで建物がどうなっていたのかは知りませんが、本館と那珂川の間にあった木造2階建の別館は改装されカフェ・ブラジレイロになりました。

hsb003.jpg

2012年6月30日撮影。最後まで残っていた居酒屋もとうに撤退し廃墟となっていましたが、ついに解体作業が始まっていました。通りに面した1階部分を囲む白い壁が、工事に差し掛かったことを物語っています。

hsb002.jpg

その白い壁の向こうでは、内装の解体が行われていました。剥き出しになった配管が痛々しいです。

hsb004.jpg

西大橋から。天神方面からの中洲への入口にあたり、人々の目につく存在でした。同様に存在感を発揮していた向かいの福岡日活ホテル(後の博多城山ホテル)は一足先に解体され、現在はアクア博多になっています。

hsb005.jpg

同年7月18日撮影。正面には足場が組まれ、少しづつ建物の姿が覆い隠されていきます。

hsb006.jpg

とはいうものの晩年はタイルの剥落を防ぐためか外壁がネットに覆われていたので、既に本来のシャープな姿からはかけ離れたぼやけた外観になっていましたが。

hsb007.jpg

同年7月22日撮影。

hsb008.jpg

前回撮影から4日しか経っていないため、あまり変化はありません。

hsb009.jpg

接近。足場が組まれていなかったら、美しいストリームラインが拝めていたのですが。

hsb010.jpg

明治通り側は1階の居酒屋入口となっており、ビル玄関は那珂川沿いに設けられていました。ちなみにビル名の「花関」とは、福岡の銘酒・花の関からとられています。

hsb011.jpg

同年7月28日撮影。前回撮影から6日しか経っていないため以下略。たぶん模試か何かがあったので、頻繁に通っていたのでしょう。

hsb012.jpg

その割にはショボいスマホのカメラの写真しかないのですが、当時は(一眼ではないにせよ)ゴツいカメラを持って街を歩くことに少なからず抵抗があったのです。

hsb016.jpg

同年9月27日撮影。2か月も間が空いたせいで、いつの間にやらビル全体がすっぽりと壁に覆われています。

hsb017.jpg

屋上の方をよく見ると、重機による解体が既に始まっています。昭和通りの西中島橋からの撮影ですが、この頃からゴツいカメラを街歩きにも使用し始めたのでこのアングルが叶いました。もう少し早く持ち歩き始めていれば、数少ない意匠の一つだった階段室の十字状の透かしも撮影できたんですがね。

hsb019.jpg

同年10月20日撮影。写真奥の大洋ビルに掲げられた千曲屋(ちくまや)の看板と比較すると分かりやすいですが、約1か月の間に大分解体が進んでいますね。もう一つ奥にたつ博多エクセルホテル東急も、以前はずっと日陰だったであろう部分に日が差しています。

この日は学校が早く終わり、街をウロウロしながら時間をかけて予備校へ通ったのを憶えています。おかげで青柳の営業最終日にも立ち会うことができましたし、上呉服町の住宅土居画廊に出会うこともできました。

hsb013.jpg

同年11月20日撮影。前回からちょうど1か月が経過し、大洋ビルや中洲大洋映画劇場よりも小さくなってしまいました。ここから年末年始にかけてはセンター試験を控え勉強に本腰をいれ始めたので、花関ビルの写真はありません。

hsb014.jpg

2013年2月13日撮影。ビルはすっかり姿を消し、中洲大洋のボロボロの非常階段や大洋ビルの配管だらけの側面が露わになっています。

hsb020.jpg

同年2月27日撮影。2次試験を終えた私の心のように、青く晴れ渡った空でした(笑)。

hsb018.jpg

水上公園前から。そこにあるべきものがないという光景は、実に寂しいものですね。

hsb015.jpg

見れば見るほど痛々しい、隣接するビルの側面。

hsb021.jpg

同年3月9日の撮影。この写真が私のフォルダにおける、最も新しい花関ビルの写真です(既に解体されて写っていませんが)。透明感のあるアクア博多の存在が、向かいの黒ずんだ空間を際立たせてしまっています。跡地は砂利敷きのまま白い壁に囲まれていました。

しばらく更地のままで今後の活用法は定まっていませんでしたが、飲食店ビルの建設が先日決定したとのこと(※)。着工は今年10月とあるので、もう始まっている頃でしょうか。向かいのアクア博多のような、中洲の玄関口に相応しい洗練された建物になるといいですね。

※元記事はこちら⇒中洲・花の関ビル跡地に飲食ビル建設へ(NetIB-NEWS)


(2014年7月25日追記)

hsb101.jpg

先日近くを通りかかった所、新ビルの建設が大分進んでいました。

hsb103.jpg

いつの間にか計画が具体化していたようです。詳しくは以下のサイトをご覧ください。

株式会社トンカチ - 中洲4丁目計画「pantoNAKASU」

hsb102.jpg

新しい中洲の顔が登場するまで、あともう少しです。

(2015年2月15日追記)
新ビルについての記事を書きました⇒prato NAKASU(プラート中洲)

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント