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2018/12/29 (Sat) 09:00

雑記(2018年の在々)



いつの間にか2018年も残り僅か。例年通りあちこちへ足を運びましたが、ブログも相変わらず在庫の山の済し崩しという状態で、やはり新しいネタは積み残す一方でした。そんな訳で昨年末と同様、この一年に訪れた在々所々の話題を、備忘録として長々と書き置きたいと思います。


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▲三井化学J工場(福岡県大牟田市浅牟田町30/1938・S13)

まずは正月に訪れた大牟田市。土砂降りに見舞われた3年前のリベンジを期し、天気の良い日を狙って市内各地(と少しだけ荒尾市)を巡りました。写真は大牟田の誇るランドマーク、三井化学J工場。何やら解体の噂もあるらしいので、とりあえず写真に収めることができて良かったです。ちなみに毎年秋、敷地内で「オオタムフェスタ」なるイベントが開催されているとのこと。建物を間近に見る絶好の機会であり、できれば来年行ってみたいものですが、それまで残ってくれているでしょうか。

大牟田工場-社会貢献活動への取り組み(三井化学HP)


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▲第3大手門IRビルディング/UR下の橋住宅(福岡市中央区大手門1-9-1/1963・S38)

2月には大濠・舞鶴両公園へ。福岡アメリカ領事館📄など、いくつかの建物を散歩がてら回りました。写真はお堀に面して建つ旧公団の市街地住宅。前出のJ工場と同じく、カーテンウォールが美しい昭和モダンな建物です。


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▲旧菡萏遊廓の街並み(大分市)

2月末には1泊2日で大分市へ。大分県立図書館で調べ物をした折に、菡萏(かんたん)遊廓のあったエリアを再訪しました。4年前(⇒記事の最後らへん)と比べると、写真のパステルカラーのタイル貼りの建物などは健在だった一方で、右奥の角にあった赤茶色タイルの建物は更地になっていました。

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▲TKフロンティアビル(旧住友生命大分ビル/大分市都町1-1-23/1979・S54/日建設計)

2日目は市中心部をウロウロ。毎年のように訪れている大分ですが、数年前は新駅ビルの開業、また来年にはラグビーW杯の開催と、街が着実に変わり続けている印象を受けます。写真は市街地のランドマークの一つ、TKフロンティアビル📷。以前の住友生命大分ビルという名称から、いつの間にか変わっていました。余談ながら北九州・佐賀・佐世保の住友生命ビルも、同じく最近改称(売却?)しているようです。


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▲三井住友銀行熊本支店旧店舗(旧住友銀行熊本支店/1934・S9/長谷部竹腰建築事務所)

3月。熊本市で行われたイベント「花畑町別館にまつわる6の問いかけ」(主催・けんちく寿プロジェクト、⇒公式HP)に行ってきました。昨年解体された熊本市役所花畑町別館📄の部材展示、そして建築に関するテーマトークといずれも興味深い内容。失われた建物について問いかけ、語り継ごうという趣旨にも惹かれるものがありました。

写真は会場へ向かう道すがら、様子見に訪れた旧三井住友銀行熊本支店📄。今年1月に移転して空屋となっていましたが、NPO法人「熊本まちなみトラスト」や地元自治協議会の働きかけなどもあり、カリーノグループ(本社・熊本市)が建物の保存活用を目指して購入したことが、今月になって報じられました。市民の地道な活動と地元企業の理解によって、貴重な銀行建築が次世代へ受け継がれようとしています。ありがたい限りです。

旧「三井住友銀行熊本支店」保存・活用の見込み(熊本まちなみトラストHP)
旧三井住友銀行熊本支店跡 取得について(カリーノグループHP)


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▲料亭富貴楼(長崎市上西山町5-4/明治期ほか)

GWは1泊2日で長崎市へ。昨年休業していた料亭 富貴楼(国登録有形文化財)が解体されるとニュースで知り、最初で最後の見物に行ってきました。高い石垣の上に甍を並べた建物は壮観の一言。とはいえ一昨年長崎を訪れた際に来ていたら、まだ営業中で雨戸の閉まっていない、より素晴らしい姿を拝めただろうになあ……と今更ながら思います。この日は他にも旧長崎玉屋📷(1969・S44開店、2014・H26閉店)や、先日紹介した県立長崎図書館📄といった、同じく今後消えゆく建物も見て回りました。

国の有形文化財「富貴楼」解体へ 老朽化で活用困難(西日本新聞)
旧長崎玉屋 5月にも解体 複合ビル2020年着工へ(長崎新聞)

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▲カーニープレイス長崎の跡地(長崎県長崎市五島町1-21)

一方で「訪れてみると既に消えていた」という残念な結果だったのが、大波止通り沿いにあったオフィスビル、カーニープレイス長崎(旧第百生命長崎支社/1971・S46/レーモンド建築設計事務所、⇒ストリートビュー)。建物の解体はとうに終わり、跡地ではビルの新築工事が始まっています。ただ、ちょうど更地だったおかげで写真奥に建つ長崎県漁協会館📷を見通せたのは不幸中の幸いでした。


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▲旧九州帝国大学法文学部附属図書館(福岡市東区箱崎6-10-1/1925・T14/倉田謙)

同じく5月の上旬には「福岡ミュージアムウィーク2018」の会場の一つ、九州大学総合研究博物館へ行ってきました。最大のお目当ては同館第3分館となっていた旧法文学部附属図書館📄の一般公開。この建物はこれで見納めかなあ……などと一抹の寂しさを覚えつつ、更地の増えたキャンパス内を数時間ほど撮り歩きました。

各館のイベント|福岡ミュージアムウィーク2018 (福岡ミュージアム情報)


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▲日本製紙体育館(旧十条製紙八代工場体育館/熊本県八代市十条町4−3/1960・S35/同工場工作課)

6月には八代市を再訪。2年前に回りきれなかった建物や、見落としていた建物を巡りました。写真は日本製紙の工場付近にある体育館。前出の九大法文図書館より時代は随分下りますが、大きなアーチ窓を柱(または方立)で分節している点が、いずれもモダンに感じられます。

【追記】記事を作成しました→ 日本製紙八代工場の建築📄【追記ここまで】

ちなみに冒頭のアゴ掻き猫は植柳小学校旧講堂📷(1925・T14)にいたネコで、ただ何となく使わせてもらった次第です(うまく理由をこじつけられなかった)。


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▲福岡県立図書館別館(旧福岡県議員会館/福岡市東区箱崎1-41-12/1981・S56)

少し空いて8月中旬。度々お世話になっている福岡県立図書館が今年100周年を迎えたのですが、図書館の沿革を紹介する掲示資料に、次のような一文が記されていました。

1995(平成7)年には、県立図書館に隣接していた県議員会館を別館として改築しました。


「子ども図書館なんかが入ってる割に、妙にお堅い建物だなあ」と思っていましたが、なるほど納得です。ちなみに建築年は定礎石から見当が付きましたが、設計者などについては資料を漁ったものの分かりませんでした。どことなくT中工務店っぽいような……真相やいかに。


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▲高良大社境内より(福岡県久留米市御井町1)

同じく8月中旬、2年ぶりに久留米市へ。ブログで旧熊本家裁📄の記事を書いた後、他にも参考になりそうな資料があることが分かり、所蔵先の某大学図書館へと足を運んだのでした。一応収穫はあったものの、追記するとますますややこしくなりそうなので、今のところ当該記事には手を加えていません。

資料の確認を済ませた後は、未訪だった建物をいくつか回りました。写真は広大な筑後平野を見下ろす高良(こうら)大社。中央右に写っている高良会館(1965・S40)等々、いずれ紹介するつもりです。


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▲親和銀行大波止支店(長崎市五島町4−16/1963・S38/白井晟一)

同月末には4か月足らずで長崎市を再訪し、前回より余裕のある行程で市内を巡りました。写真は順光の時間帯を狙って立ち寄った親和銀行大波止支店📷。一昨年の訪問時はすっかり枯れ果てていた池に、再び水が張られています(雨水が溜まっただけじゃないよね?)。

ちなみに親和銀行(本店・長崎県佐世保市)は、持株会社である ふくおかFG(本社・福岡市)と十八銀行(本店・長崎市)の経営統合に伴い、2020年10月に十八銀行と合併する予定です。同一県内での合併ということもあり、重複店舗の統廃合は避けられないでしょう。当支店の場合も十八銀行北支店(200メートル北、JR長崎駅そば)をはじめ、近隣に複数の本支店が立地しており、建物の行く末が案じられます。

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▲旧長崎県庁舎(長崎市江戸町2-13/1953・S28/日建設計工務)

2日目は旧県庁舎の見納めに。今年1月に駅近くへ新築移転し、旧庁舎は既に解体が始まっています。余談ながらこの日は市立図書館も訪れる予定でしたが、お粗末にも休館日の確認を忘れており、とんだ無駄足になってしまいました。


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▲佐賀県立博物館(佐賀市城内1-15-23/1970・S45/第一工房+内田祥哉)

9月初めには2年ぶりに佐賀市へ。佐賀県立博物館で開催された展覧会「すごいぞ!ボクの土木展」は展示内容もさることながら、会期最終日というのもあり、非常に賑わっていたのが印象的でした。幅広い世代の人々が、軒下空間や広場を絶えず行き交っており、建物自体も生き生きとして見えますね。

他方、目的地の一つを午前中に通っておきながら「順光になる午後にまた来よう」とスルーして結局行き忘れたり、せっかく図書館に行っておきながら一部資料を確認し忘れたりと、この日も色々ポカをやらかしたのが心残りです。もっとも佐賀県庁では、県庁舎旧館📷(1950・S25/阿部美樹志)が「県庁CLASS」として常時公開されていることを知るなど、思いがけない収穫もありました。この日の公開はあいにく終了していましたが、やらかした分のリトライも含め、次回のお楽しみということにしましょう。

すごいぞ!ボクの土木展(佐賀県立博物館HP)
施設案内:本庁舎の概要(佐賀県HP)


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▲JR三角駅舎(熊本県宇城市三角町三角浦/1938・S13)

夏の終わりには熊本県の三角(みすみ)へ。JR三角駅とその周辺、いわゆる三角東港を訪れるのは初めてで、これが想像以上に心を引かれる街並みでした。世界遺産の三角西港だけでも十分楽しめますが、西港、そして三角港全体の盛衰の歴史は、この東港を訪れてこそ、より実感できるのではないかと思います。観光ポスターか何かに “Don't miss me!!” と書いてあった通り、みすみす見過ごしてしまうには勿体ないところです。


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▲口之津灯台(長崎県南島原市口之津町甲65/1880・M13)

また少し空いて11月上旬、2泊3日の行程で天草・島原を巡りました。天草は昨年同月にも訪れていますが、前回見てきた洋館が実は銀行建築だったと最近知り、他にも確認したいことがあったため急遽再訪した次第です。

初日のうちに目的を果たし、夕方には島鉄フェリーに乗って対岸の島原半島へ。降り立った港町の口之津では、明かりの点いた灯台の下、薄暮の有明海を独り堪能しました。聞こえるのは鳥のさえずりと、秋風に揺れる木々のそよめき、ちゃぷちゃぷ響く微かな潮騒。こんな空間・時間を独り占めして良いんだろうか?と謎の不安すら覚えるほど、何とも贅沢なひとときでした。

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▲雲仙スカイホテル(旧ホテル芳仙館/長崎県雲仙市小浜町雲仙323-1/1961・S36ほか/増沢洵建築設計事務所)

以後ほぼ時計回りに島原半島を進み、2日目はいずれも初となる加津佐・小浜・雲仙を歴訪。雲仙では思いがけず紅葉が見頃だったため「建築巡りは放っぽり出して普通に観光しちゃおうか」なんて一瞬考えましたが、そんな雲霧を晴らしてくれたのが、お目当ての一つだった雲仙スカイホテル。昭和戦後に活躍した建築家・増沢洵(ますざわ まこと)氏の設計による、九州では希少で貴重な現存作品です。この建物もいずれ改めて紹介します。

【追記】記事を作成しました→ 雲仙スカイホテル📄【追記ここまで】

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▲島原文化会館(長崎県島原市城内1-1177-2/1974・S49/武建築設計研究所+三建設計事務所)

3日目の朝に諫早を発ち、実に8年ぶりとなる島原市へ。半日使って市内を回る予定でしたが、結局は行程を消化しきれぬまま日没を迎えました。主な原因は島原文化会館が思っていたより素晴らしく、つい90分ほど居座ってしまったこと。今回は失敗ではなく嬉しい誤算といえます。未消化に終わった物足りなさ以上の充足感、そして再訪への期待を胸に、再びフェリーに乗って帰途に就きました。


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▲鹿児島市役所本庁舎本館(鹿児島市山下町11-1/1937・S12/大蔵省営繕管財局)

そして今月上旬、鹿児島市などで開かれた建築イベント「オープンハウスカゴシマ」へと昨年に続いて行ってきました。昨年は数件しか回れなかったこともあり、今年は1泊2日で余裕のある行程に。金曜に公開された鹿児島市庁舎📷の2階講堂(旧市議会議場)、そして同じく金曜開催のシンポジウムにも行くことができました。

OPEN HOUSE KAGOSHIMA(公式HP)

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▲鹿児島県老人福祉会館(鹿児島市鴨池2-30−8/1972・S47/内木場建築設計事務所)

このイベントの最大の魅力だと勝手に思っているのが、戦前のレトロな建築やポストモダン以降の作品のみならず、昭和戦後~後期のモダンな建物にもスポットを当てている点です。今回初めて訪れた鹿児島県老人福祉会館はその典型で、期待を上回る面白い建物でした。

前出の市庁舎はイベントとは関係なしに見学させてもらえたことがありますが、この時代の建物となると仮に申し出ても怪訝な顔をされそうなので、普段は外観だけ撮りまくって引き返すことがほとんどです(十分怪しいけど)。それが会期中に限っては、対象の建物は自由に見学できる訳ですから、イベント関係者の方々にはただただ感謝あるのみですね。

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▲垂水市庁舎本館(鹿児島県垂水市上町114/1958・S33ほか/衛藤右三郎建築設計事務所)

ちなみに2日目の昼には、鹿児島市を離れて垂水(たるみず)市へ。垂水は錦江湾を隔てて対岸の大隅半島にあり、もともと地理的・心理的な遠さから二の足を踏んでいた都市。しかし、宿をとった鴨池エリアについて下調べ中、鴨池港を発着する「垂水フェリー」の存在を知り、これは行くしかない!と急遽行程に組み入れたのです。

新庁舎建設に向けた動きのある垂水市庁舎や銀行建築(厳密には信金)をひとまず押さえ、2時間余りで鴨池港へとんぼ返り。船内のうどんで温まりつつ、そういや今年は計4回も(当人比)フェリーに乗ったんだなあ、と例年とは一味違った旅情に浸りました。



という訳で、2018年最後の記事でした。今年の更新状況を振り返ってみると……今回を含めた記事の総数は19件。カテゴリ別に見ると「福岡市の建築」は計2件で、「福岡市以外の建築」は計16件(うち佐賀5件、熊本4件、大分・宮崎が各2件、福岡・長崎・鹿児島が各1件)、そして雑記の「その他」が1件でした。

昨年と同様、年末に駆け込む形で九州各県のカテゴリを一通り更新。ペースが遅いぶん厳選したつもりですが、とりわけ熊本市中央公民館📄熊本県婦人会館📄、そして大分県住宅供給公社ビル📄は、まだ戦後建築への関心が薄い時期(ブログを始めた頃)から気になっていた建物なので、こうして紹介できたことに大変満足しております。同じような存在として、この建物📷もいずれは記事にしたいですね。

ちなみに過去の雑記を見返してみると、毎年方針やら目標やら掲げつつ、いずれも有言不実行に終わっているようです。こんな状況だと鬼さんも笑うどころか呆れてしまうので、来年のことは特に言わないでおきます。

それでは最後までだらだらと続けてしまいましたが、今年も拙ブログをご覧くださりありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。

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コメント

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来年の記事も楽しみに

ほう、親和銀行大波止支店は再び水を張ったのですか。これはこの建築を今後も使い続ける意思表明だ、と解釈するのは楽観的ですかねw それと、雲仙スカイホテルが増沢洵とは驚きました。精力的に回っておられますね。来年の記事も楽しみにしております。

Re: 来年の記事も楽しみに

タケ様

今年もご覧くださりありがとうございました。
大波止支店は私も楽観的でして、仮に統廃合があっても建物は活用してくれるのでは、と期待しています。親和銀行では旧九州銀行本店(合併後に統合廃止、現親和アートギャラリー)のような事例もありますので。ただ、十八銀行との合併で方針が変わらないか、少々気がかりではあります。
増沢洵氏については詳しく存じ上げないのですが、九州にも作品が残っていたんだなぁと驚きました。なるべく早めに記事にしたいと思います。
それから志免炭鉱の情報もありがとうございました。この年末年始に見に行こうかなぁ、と最近タケさんのツイートで知って考えていたところです(笑)。私もタケさんの記事を一年間楽しく拝見しました。来年も楽しみにしております。