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2013/06/16 (Sun) 02:27

博多大丸 福岡天神店


博多大丸 福岡天神店
福岡市中央区天神1丁目4-1/地下2階~地上8階
開業…1953(昭和28)年6月16日 ※75(同50)年11月7日に現在地へ移転、97(平成9)年3月に東館を増床
売場面積…44,192㎡(本館22,147㎡+東館)
売上高…574億3518万円(平成25年2月期)

本日2013年6月16日に、博多大丸は開業60周年を迎えました。ということで箱崎シリーズを一時中断し、博多大丸 福岡天神店を紹介させていただきます。同店は大丸と松坂屋を核とするJ・フロントリテイリング傘下の百貨店。梅田や京都、札幌などの直営店とは異なり、単独で日本百貨店協会に加盟する子会社(株式会社博多大丸)によって運営されています。

同社が設立されたのは1952(昭和27)年10月のことで、福岡市内に現存する百貨店では岩田屋(現・岩田屋三越)に次ぐ歴史を誇ります。当初店舗を構えていたのは東邦生命福岡ビル(博多区上呉服町、現在の呉服町ビジネスセンターの場所)の地下1階~地上6階。ビルの7、8階には博多帝国ホテルが入居しており、また博多駅の近くという好立地だったため、多くの買い物客で賑わいました。

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呉服町時代の博多大丸 ※施工した鹿島建設のホームページ(以下)より

◎鹿島建設株式会社 > 企業情報 > 鹿島の歴史 > 建築分野へ積極進出~「超高層の鹿島」へ~

しかし、博多駅が1963年に現在の場所へ移転し、店舗のある呉服町から大きく遠ざかったことで状況は一変します。69年には帝国ホテルが撤退するなど次第に客足が遠のく中、経営陣が目を付けたのは同じ福岡市内にある天神地区。天神はもともと県庁や市役所などが立地する官庁街でしたが、当時ダイエーショッパーズの開業により、博多や中洲などの旧来の繁華街を凌ぐ勢いで商業集積が進んでいました。

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ちょうどその頃、天神に本社を構える西日本新聞社は、老朽化し手狭になった社屋の建て替えを検討していました。そこで博多大丸は同社と協議の末、新本社ビル(西日本渡辺ビル)の地下2階~地上8階にテナントとして入居することで合意し、1975年に天神への移転開業を果たしました。その後も周辺では大型店の開業が相次ぎ、激しい競争を繰り広げることになりますが、97年には再開発に伴い東館エルガーラを増床し、天神地区における地位を確固たるものにして現在に至っています。



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それでは店舗の外観を見ていきましょう。建物は天神を南北に貫くメインストリート「渡辺通り」に面しており、繁華街の中心部に近い北側、西日本新聞会館(ビル上層階)の玄関と隣り合う形でメインの玄関が設けられています。

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こちらが大丸の玄関。

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頭上の「DAIMARU 本館」の表記とともに、脇には「創業1953年」と刻まれたプレートが誇らしげに掲げられています。プレートの上下に見られるデザインは、大丸のシンボル(※)である孔雀です。

※…大丸心斎橋店(大阪市)の中央玄関上部に掲げられた孔雀の装飾に由来

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渡辺通り側の様子。1階を若干後退させてピロティとし、歩道に向けてショーウィンドウを並べています。



渡辺通4丁目交差点より(冒頭の写真と同じ)。オレンジ色の大きなビルのうち、窓の少ない下半分が大丸の本館。

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本館の裏手には、市の再開発事業によって誕生したビルが隣接して建っています。このビルの下層階(地下2階~地上6階)が東館エルガーラです。

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表通り(国体道路)側の様子。大丸の入居する部分には異なるデザインを使用しており、本館以上に百貨店らしさを打ち出した外観となっています。

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本館との隣接部分。両者が入居するビルの間、その中ほどに屋根がありますね。

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その内部がこちら。アーケード商店街のような半屋外空間で、パサージュ(※)広場と名付けられています。ガラス張りの屋根は5~6階辺りのやや高い所に架けられており、かなり開放的な印象です。路面にはオープンカフェやオブジェが設置されているほか、イベントスペースとしても使用されています。

※…18世紀後半からパリで発達した、ガラス製アーケードに覆われた歩行者専用通路。「通過」や「小径」を意味するフランス語(passage)を語源とする

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広場に面した東館エルガーラの入口。

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同じく本館の入口。

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このパサージュ広場(1階)に加え、3階と地下2階に連絡通路を2本ずつ配置することにより、2つの建物に分かれている売場の回遊性を高めています。

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パサージュ広場を抜けて反対側から。

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最後に夜景。

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ちなみに渡辺通りを挟んで向かいには、東館エルガーラと同年に開業した福岡三越(写真)が存在しており、業界首位と2位の大手百貨店同士が向かい合う珍しい光景が広がっています。当然ながら両者は競合関係にあるはずなのですが、このところ商業集積の進んでいる博多駅周辺が天神地区全体の脅威となっているため、初売り福袋を共同で販売するなど協力しあう動きも見せています。


(おまけ)

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大丸パピヨン店
福岡市博多区千代1丁目17-1/鉄骨鉄筋コンクリート造地上11階地下3階建の地上1階部分
開店日…1996年11月1日
売場面積…約350㎡

株式会社博多大丸が運営する小規模店舗。都心の外縁に位置する再開発ビル「パピヨン24」(1988年竣工、写真)に入居し、婦人靴を中心に取り扱うほか、ベーカリーも併設しています。同ビルは福岡市営地下鉄の千代県庁口駅に直結しており、福岡天神店からは地下鉄で15分程度の距離です。

以上、博多大丸 福岡天神店でした。次回は店舗が入居するビルについて見ていきたいと思います。

【撮影年月】
2012年9月)001、002
2013年2月)003
2013年3月)004~010
2014年3月)011
2015年5月)012~019

【関連リンク】
博多大丸60年の歩み (博多大丸HP)

(2015年8月追記)写真の追加や文章の加筆・修正を行い、記事を再構成しました

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